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高3の冬。
翔太は彼女がいても、わたしの部屋にしょっちゅう入り浸ってたし、朝でも夜でも構わず連絡は来た。
…まあ、わたしはさすがにもう、翔太の部屋に行くことは出来なかったけど。
正直、ちょっと女の子たちからの嫌がらせもあって。わたしは翔太と、学校や外ではなるべく関わらないようにしたかった。
それに気づいたのか、翔太は学校で話しかけてくることはなくなったけれど、そのかわりによく家に遊びに来るようになった。
…ほんと、人の気も知らないでさ。
バレンタイン。
今年は彼女がいるからか、本命チョコ一つだけらしい。
「今年はチョコ貰えないのかぁ」
渡「お前な、バレンタインなんだぞ。むしろあげる側だろうが」
まあねー、なんて適当に返事をしながら、わたしの部屋で2人、スマホをいじいじ。
…いや翔太。来る意味ある?
渡「なんか家静かじゃね?」
「お母さんもお父さんも出かけてる」
渡「ふぅん」
…会話、終了。
なんか気まずいな。なんて思ってると、あ、ってあることを思い出した。
「ちょっとまってて」
そう言い、リビングに向かう。
冷蔵庫から、ラッピングされた箱を取り出す。
…実は昨日、こっそり作ったんだよね。これ。
生チョコ。…翔太に、バレンタイン、として。
彼女いるし…渡すのもな、なんて思ってたらすっかり忘れてた。
…どうしよう、渡そうかな。
多分これが、最初で最後のバレンタインになりそうだし。
…いやでも、彼女いる人に渡すのもなんか変、だよね。
「…まあいいか」
あとで食べちゃお。
手に取ったそれを再び冷蔵庫へしまい、くるっと振り返る。と。
「っひっ!」
目の前に、気配を消した翔太が。
「っんな、あんたは忍者か…!」
翔太を見ると、目線はわたし、ではなく。
渡「…今しまったの、何?」
冷蔵庫を見つめる翔太。…まさか見られてた、?
「んえ、な、なんでもない、よ」
翔太はわたしをちらりと見て、ふぅん、とだけ。
そしてそのまままた、わたしの部屋に戻っていく。
…え、何しに来た?
…てか。何をそんなに気にしてるんだろ、わたし。
別に渡せばいいやん。幼馴染だもん。
バレンタインだから、とか。特別な意味を持たせるから渡せないんじゃん。
お父さんに作ったやつの余り〜とか言って渡せばいいやん。うんそうじゃん。
もう一度冷蔵庫からそれを取り出し、わたしの部屋にいる翔太の元へ向かった。
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みらくる(プロフ) - ビー玉ころころさん» コメントありがとうございます!そして嬉しいお言葉まで😭書き溜めているのでまた一気更新するかも!笑 (4月19日 17時) (レス) id: c03ab64b2c (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉ころころ(プロフ) - 新作待ってました!とっても嬉しいです!みらくるさんのお話には、あたりしかないのでこの後の展開がどう転ぶのか楽しみです。にやけながら、楽しく読ませていただきます笑 (4月14日 19時) (レス) @page6 id: d17bac7dda (このIDを非表示/違反報告)
みらくる(プロフ) - Lucy-ruuさん» コメントありがとうございます!渡邊さーん!しょぴと幼馴染になれます👍🏻笑 (4月10日 20時) (レス) @page4 id: c03ab64b2c (このIDを非表示/違反報告)
Lucy-ruu(プロフ) - みらくるさんの新作待ってました!!それに渡邊さんがお話しにでてくるなんて嬉しすぎます(^^)苗字がまさに渡邊ですので…笑 これから楽しみです!頑張って下さーい( ^ω^ ) (4月8日 19時) (レス) @page1 id: fd92b233e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みらくる | 作成日時:2024年4月8日 15時