検索窓
今日:26 hit、昨日:278 hit、合計:115,647 hit

ふりむかないで ページ10

佐久間side。


.


日が長くなってきて、店に入った時は夕方って言ってもまだ明るかったのに、出る頃にはすっかり暗くなってた。
照とAちゃんが車って知ってたから、阿部ちゃんとは電車で来た。
もちろん乗せて帰ってもらおーって魂胆で。

そしたら何故か俺が運転手になった。



「なーんでか勝っちゃうんだよね〜こういう時…」

岩「持ってるね、佐久間」

阿「引き強いよ」

「嬉しくな!」



半分ホントで半分ウソ。
だって助手席には「ごめんね?」って遠慮がちに座るAちゃんが居るんだもん。
全然いいよーって気持ちになっちゃうんだから不思議。

窓を少し開けて、車内に夜風が入り込んで来ると丁度気持ち良くて遠回りしたくなっちゃう。
春の夜っていいよね。そう思ってたら、



椿「私、春が一番好き。特に夜が」



同じタイミングで同じことを考えるAちゃん。
目を細めて心地良さそうにしてるのが可愛い。



「だよねー?佐久間も!」

椿「夜桜とか見に行きたかったなー…」



残念ながら、今年は桜の開花が早くてもう殆ど散ってしまっている。見頃はとっくに過ぎてしまった。
彼女の寂しげな横顔を見てたら、なんとかしてあげたくなって…



「…来年!」

椿「ん?」

「来年、一緒に見に行こうよ。みんなで!」



「みんなでかよ…」って後ろから聞こえたような、聞こえなかったような。
でも、突拍子もない来年の話に、Aちゃんは「来年かあ…」って嬉しそうに呟きながら頷くから。



椿「行きたい!行こうね」



この約束はなんとしてでも叶えてあげようって心に決めた。
佐久間さんってほんっとAちゃんのこと可愛くて仕方ないんだな〜
なんかほっとけないんだよね。


.



阿「…Aちゃん寝た?」

「寝たねぇ」



そういや去年お花見行ったよなーってシェアハウスの思い出話をしてたら、初めは相槌を打ってくれてたAちゃんの声が段々聞こえなくなって。
代わりにスースーって規則的な寝息が聞こえるようになった。



岩「朝から動いて疲れただろうね」

阿「佐久間、わざと遠回りしたでしょ」

「バレた〜?」



「バレバレ」と阿部ちゃんが笑ったのをルームミラー越しに見る。
夜桜は見せてあげらんないけど、ドライブがてらお散歩気分だけでも味わえるかなって。
こっそり遠回りしてたつもりが、2人にはバレちった。
そりゃそうなんだけど。

信号が赤になって、Aちゃんを見ると伏せた睫毛がキラリと光る。



「へ…」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (256 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
996人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , シェアハウス
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。