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通されたカウンターはぐるりと厨房を囲むコの字型。
空いていたのは角の席だったから両隣が埋まっている感覚はなくて、お隣も細身なお姉さんだし全然窮屈には感じなかった。
さっき案内してくれたお兄さんが取り皿とおしぼりを持って来てくれて、とりあえずビールを頼む。



ユイ「禁酒はやめたの?」

「…今日はほどほどに飲むの」

ユイ「ほどほどねぇ」



ニヤって含み笑いをするユイは、私の言葉を信用してないのが丸分かり。
ユイは飲ませて来るようなタイプじゃないけど、私の方がユイと一緒だと気を許しちゃって飲み過ぎてしまうから…要は私が気をつければいい話なのだ。



ユイ「とりあえず何か頼もうよ」

「そうだね、お腹すいたー…」



開いたメニューはこれまた不思議で。
イタリアンみたいな名前のやつもあれば、青椒肉絲とかお好み焼きとかそういうのもあるし…和洋折衷どころか中華もなんでもどんとこい!みたいな。
でもとにかくどれも美味しそうで決めきれない。



ユイ「カルパッチョは頼むとして…あとどて焼きも美味しそう」

「この温玉のポテトサラダ頼んでいい?」

ユイ「いいね」



辺りを見回すとさっきのお兄さんはドリンクを作っていて、ホールに出ている他の店員さんもレジに居たりオーダーを聞いていたりですぐには捕まらなさそうだった。



ユイ「すいませーん」



ユイが目の前の厨房に声を掛けると「はーい」って店主さんらしき人が振り向いて。



「えっ」

宮「おや」



「いらっしゃいませ」って上品に微笑んだ。



宮「ご注文お伺い致しましょうか」

ユイ「あ、いいですか?えっとー…」



ユイが注文するのをひとつひとつ頷きながら確認するのは宮舘さん。「こちらもオススメですよ」って勧められた何かを「じゃあそれも!」ってユイが追加してる。

たまたま入ったお店が知り合いのお店って…こんなことある?
驚きを通り越して怖いとさえ思って来た。
あのシェアハウスの住人さんと何か強いご縁で結ばれていたりするんだろうか…

「お待ちくださいね」と微笑んだ宮舘さんに会釈するユイ。



ユイ「なに?どうした?」

「いや…なにも…」



「お待たせしましたー!生中でーす!」ってお兄さんが元気いっぱいにビールを運んできてくれて、ひとまず乾杯する。
グッと煽ったそれは美味しくて。



「ぷはっ うまぁ……」

ユイ「んはは 滲みてる」



頭が考えることを放棄した。

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作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時

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