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12月、修学旅行 ページ11

冬真っ只中の12月。

修学旅行でエメラルド大陸に来た。そして色々とあったけど、お世話になる温泉の宿に着く。

「温泉だー」

どんなお湯かなぁ、とわくわくしていたら

「気を緩めている場合じゃない」と他の先生にちょっと怒られてしまった。

「生徒達の安全も守らなきゃ、ですっ!」

ミオソティス先生にもちょっと注意された。

「そうは言ってもねー。ゆるーくやってもいいと思うよ〜」

ミュゲート先生はそう言い、のんびりと宿に入って行く。そうだった。今回の旅行では全学年が一緒なんだ。

学園が丸ごと宿に移動したような雰囲気だな、と思う。ただ、担任じゃない人達はさすがに来てないよね。

×

生徒の部屋割りや教員達の部屋割りも終えて、完全な自由時間となった。温泉宿内を歩くと、生徒達の楽しそうな声が聞こえる。

「みんな居るなんて不思議な感じ……」

廊下を走っている子はいないけど、みんなとても楽しそうだ。

「あ、ヘッケンローゼ先生」
「……どうも」

休憩スペースにヘッケンローゼ先生が居た。きっと部屋割りが教員の人数に対して男女2部屋ずつしか分けられてないから少し窮屈だったんだろう。わたしはじっとしてないタイプだから部屋から出た感じなんだけど。

多分、人が居る空間で落ち着けない人なんだ。

「驚かないんですか」
「視えてましたので」

文化祭の時みたいな様子じゃなかったのを指摘したらごく冷静に返された。

「そういえば、占星術の先生でしたね」
「……私の噂、ご存知ないのですか」
「噂?」
「…………未来視の話とか」

首を傾げると、酷く嫌そうに彼は答える。そして、彼の持つ『未来視』の特殊眼の事を少し教えてくれたのだ。

「へぇ、不思議な目を持ってるんですね」
「気味が悪いとは思わないのですか」

占星術と未来視を組み合わせたら最強じゃん、と感心していたらヘッケンローゼ先生は低い声でそう問いかけた。

「なんでですか?」
「……」
「そういう特性があるってだけで、人と違うから悪いものなんて決まりはないでしょう?」
「……そうですね」

そう答えると、少しして彼は俯き顔を背ける。

「どうしたんですか? 気分が悪いとか?」

心配になって覗き込もうとしたら拒まれた。

「……ええそうですね。気分が悪いです。ではお別れですね、さようなら」

一息でそう言うと彼は立ち上がって去って行く。

「……どうしたんだろ。気分が悪いなら部屋まで送ったのに」

具合が悪いにしては割と元気だなと首を傾げた。

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作者名:鬼灯 | 作成日時:2024年4月10日 14時

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